レンタカーの免責補償制度への加入は任意…ゆえに判断の難しいところ。
そこで加入すべきかの判断に悩む人の参考用として、資料などを使った考察を掲載しているのでよければ判断材料としてご覧ください。
レンタカーの免責補償制度は必要か?
レンタカーを利用するときにはほぼ毎回おすすめされる免責補償制度への加入。
他ユーザーの加入率などを持ち出されると、なんとなく「加入したほうがいいのかな?」…といった気持ちになってしまう人も少なくないはず…。
そんなわけでまずは結論!
万人向けに回答をすると「その人次第」。
基本的には直近で運転したときの運転経験から判断するのがおすすめです。
例えばほぼ毎日1時間程度の運転経験があり、加えて半年以上事故を起こしていないなどであれば、免責補償制度への加入は基本的に高コストで低コスパといえます。
逆に最近全く運転していないペーパードライバーや運転初心者であれば、事故率を考慮すると免責補償制度への加入料金はそれほど高いコストとはいえなくなるでしょう。
…そもそそも免責補償制度はこういった性質なので、総じて誰にでも必要、誰にでも不要と一概にまとめて判断することのできないコストです。
運転初心者は運転経験が少なく自分の運転技術から判断するのは難しいため、あまり惜しまず加入しておくのが無難だと個人的には思います。
そもそも免責補償制度ってどんなもの?
免責補償制度への加入を判断するためには、まず制度そのものをある程度でも理解しておかなければいけません。
…というわけで、ここではレンタカーの免責補償制度について簡単に解説しているので、既に内容を理解している人はこの項目を読み飛ばしてもらっても構いません。
(※ 具体的な考察についてはこのページの後半で書いています。)
レンタカーでは事故などによって生じる破損などの直接的損害や、車両が事故などによって運用できないことによる間接的損害を補うための補償制度が設けられており、この補償制度への加入が別料金で提供されています。
大まかに考えると自動車保険に近い性質をもっており、加入しなければそれなりのコストが個人の負担となりますが、加入すれば万が一の事故が生じた場合でも、低コストの出費で済むといった内容になります。
この補償制度の対象になるのが「免責」と「NOC」です。
免責とNOCについては以下で簡単に解説しているので参考までに。
- 免責とは?
- 責任を免れると書いて免責(めんせき)。これに設定されている金額はユーザーの負担分となり、事故などが生じた場合に出費がかさむことになります。
- NOCとは?
- ノン・オペレーション・チャージの略。営業補償を意味しており、事故などにより運営に使えなくなった車の休業補償として、その損害分をユーザーが負担することに。
…これらは混同されがちですが別物となっており、これを補うための補償制度が「免責補償制度」と「NOC補償制度」というわけです。
(※ 各サービスによって補償制度の名称は異なる場合があります。)
免責補償へ加入すればユーザーが負担すべき免責が0円になるし、NOC補償へ加入すれば休業補償として負担する金額が0円になります。
事故などを対象としたコストになるので、何も問題を起こさずに利用できれば不要なものだし、事故率の高い運転初心者であれば利便性の悪くない制度といえます。
免責補償制度の簡単な例え話
せっかくなので簡単な設定での例え話も書いておきます。
例えば免責5万円、NOC(自走可能な車両の返還)2万円、どこかにぶつけるなどして車の修理費用が6万円となってしまった場合。
補償制度に加入していなければ、修理費用のうち免責に設定されている5万円とNOC2万円の合計7万円がユーザーの負担となります。
補償制度に加入していればこれらの負担が0円になるというわけですね。
だからこそユーザー自身の事故率が重要なポイントになってくるし、運転経験から判断するのが適しているという結論になってくるわけです。
…ちょっと長くなってしまいましたが、ここまでが補償制度の概要となります。
関連記事:「自動車保険の免責とは?免責事項や免責金額の解説」
各社の免責補償制度と加入料金
各社の補償制度への加入料金は以下の一覧にまとめているので参考までに。
サービス名 | 免責 | 免責補償制度 |
---|---|---|
タイムズカーレンタル | 対物保険:免責5万円 車両保険:免責5万円 (一般クラス) | 1,080円/日~ (クラスによる) |
トヨタレンタカー | 対物保険:免責5万円 車両保険:免責5万円 (一般クラス) | 1,080円/日~ (クラスによる) |
ニコニコレンタカー | 対物保険:免責5万円 車両保険:免責5万円 | 1,080円/日 |
ニッポンレンタカー | 対物保険:免責5万円 車両保険:免責5万円 (一般クラス) | 1,080円/日~ (クラスによる) |
各社サービスによって設定金額は多少異なったりしますが、おおよそ免責5万円にしておいて免責補償制度への加入料金を1,000円程度で設定しているパターンが多いです。
(※ トラックなどになると2,160円/日になることが多い。)
免責補償制度への加入料金はおおよそ1,000円程度が相場といえそうです。
ニコニコレンタカーはボディタイプに関係なく一律となっていますが、中古車ゆえの格安サービスとなっているので他社とはやや条件が異なりますね。
免責補償制度の加入について考察
いよいよここからがこのページの本題となる「免責補償制度の加入」について。
すでに最初の項目で結論を書いてしまいましたが、基本的にはこれまでの運転経験を目安にして、自分の事故率から加入を判断するのが適切だと思います。
毎日のように運転していて事故率の低い人にとって、補償制度への加入はかなりコスパが悪いといえるものなので。
ただし、運転初心者やペーパードライバーになってくると話は別。
いくらコストをなるべく抑えたいとしても、そもそも事故率が高い、もしくは自分の運転技術の程度を判断できない…などに該当するのであれば、レンタカーの補償制度はそれほどコスパの悪くない補償といえるものです。
…というわけで、各資料を参考にしつつ補償制度への加入について、判断するために色々と考えてみたいと思います。
そもそも運転初心者の事故率とは?
まず、茨城県警察のWebサイトに掲載されている「初心者事故率」によると、全国の運転初心者の事故率は2015年で0.93%と1%を下回る結果になっています。
人数での割合なのでおおよそ100人に1人という計算になりますね。
そしてレンタカーでの事故時の免責金額が50,000円、免責補償制度への加入料金が1,000円だとすると加入料金の50回分が免責金額という計算になります。
同じ1%でも「100人に1人」と「100回に1回」ではちょっとニュアンスが違うので比較はできませんが、それでもあえて単純に比較するとコスパが優れたものとは言い難い感じに。
もしもこんな単純計算通りに100回に1回程度の事故率であれば、最初から万が一のために5万円を自分で確保しておくか、毎回自分で1,000円貯金をして万が一に備えたほうがよさそうなところです。
物損事故も含めると事故率は高め?
ただし、前項目の事故率は人身事故を対象としたものとなっており、物損事故についてはこれに含まれていません。
物損事故の件数については、各都道府県の警察署のWebサイトに掲載されているものを見る限り、各地でばらつきはあるもののおおよそ人身事故の3~6倍といったところ。
以下は参考にした各警察署のWebサイトの一部です。
・神奈川警察署…神奈川区内の交通事故発生件数
・愛知県西警察署…交通事故発生状況
・仙台北警察署…交通事故発生状況
仮に物損事故件数を人身事故件数の4倍発生しているとした場合、運転初心者の25人に1人という確率になり、これに人身事故分も含めると20人に1人という数値になります。
…もちろん大前提として、こういった事故率というのは現実には偏りが生じるので、こんな単純計算通りに当てはまるものではありませんが。
レンタカーの補償制度についての総括
実際の事故の規模や損害金額にもよりますが、それでも物損事故まで含めて事故率を考えてみると、免責補償制度への加入意義は思っていたよりも高いと推定できるため、運転初心者は特に慎重に判断したほうがよさそうというのが結論です。
レンタカー会社によっては、「運転初心者は免責補償制度へ加入できない可能性あり」としているところもあるため、これはここでの結論の裏付けにもなりますね。
要は「採算が合わない可能性がある」といっているようなものです。
関連記事:「初心者は利用可能?レンタカーとカーシェアのすすめ」
…逆に運転経験豊富な人はご注意。
レンタカースタッフが「8割のユーザーが加入しています。」…と言っているのを聞いたこともありますが、ここまでの資料を参考にすると免責補償制度への加入料金が余計なコストになっている人も少なくないというわけです。
そういった意味でも、実際に加入を判断する際には、自分なりに判断するための材料は準備しておいたほうがよさそうですね。
…例えば、普段より長時間&長距離を運転する、普段と違ったボディタイプの車を運転するなど状況が違ってくると結論も違ってくるのでそこは臨機応変の判断で。
また、ニコニコレンタカーなどのように全国展開しているタイプ(上限設定ありのタイプ)の格安レンタカーもおおよそ同じように判断してもいいと思います。
しかし、格安レンタカーの中には上限設定のないようなサービスもあるので、利用の際はそういった項目のチェックを忘れてはいけません。
最近では運転経験を増やすためにカーシェアリングを利用する人も増えており、運転練習を行なってから旅行などでの長距離運転に臨むといった方法もおすすめです。
関連記事:「使うならどっち?カーシェアリングとレンタカーの違い」

2017年9月に業界初の全国展開を達成しており、利用可能な地域が最も多いため、国内旅行に適したカーシェアといえるでしょう。
また、2018年7月には単独で会員数100万人を突破したことが発表され、カーシェア業界では圧倒的なシェアを獲得しています。
サービス情報 | その他の情報 |
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対応地域:全国 | 最短利用:15分~ |
車種:30車種以上 | 予約単位:15分毎 |
通常料金:最安206円 | 給油割引:15分相当 |
ポイント:100円で1P | 学生プラン:あり |
最短15分で15分毎の料金は206円。パック料金は全車種共通となっており、料金プランはとってもシンプルなのが特長。
3種類の夜間パックは使い勝手が良く、24時間利用可能というカーシェアのメリットとの相性もいい感じです。
ステーション数は1万箇所を超えていますが、毎月の新規オープンや増車の数は多く、利用できる地域は今後もさらに増えていくことが期待されます。
カーシェア大手のひとつですが展開は東京23区を中心としているため、利用できる地域が限定されてしまうのがやや難点。
サービス情報 | その他の情報 |
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対応地域:11都府県 | 最短利用:30分~ |
車種:60車種以上 | 予約単位:10分毎 |
通常料金:最安80円 | 給油割引:300円分 |
ポイント:200円で1P | 学生プラン:あり |
しかし、通常プランでは10分毎130円、平日プランではなんと10分毎80円と圧倒的な格安プランが魅力的。
料金の自動計算で最安適用、夜間パックの6時間返却で距離料金無料、給油割引での金額割引など、とにかく料金面と相性の良い独自サービスが多く、価格重視のユーザーには最もおすすめのカーシェア。
また、取り扱っている車種は60以上と業界でもトップクラスの多さで、レクサスやベンツ、ロードスターなど普段乗れないクルマを楽しめます。