年々注目度が高まっているカーシェアリングサービス。
今さら聞けない「カーシェアリングってどんなサービス?」、「レンタカーと何が違うの?」…といったカーシェアリングの基礎知識を解説。
そもそもカーシェアリングって何?
カーシェアのシェアは英語で「share」、意味は「分配や分けること」を意味しており、そこから「カーシェア(car share)」、「カーシェアリング(car sharing)」と呼ばれるサービス。
カーシェア専用車両を設置している駐車場のことを「ステーション(もしくはカーステーション)」と呼び、ステーションの設置車両を会員同士で「シェア(共有)」して利用します。
「所有」ではなく「共有」するという新たな車の使い方といえるでしょう。
「ん?車の所有者は誰に?」…と疑問に感じるかもしれませんが、カーシェア専用車両の所有者はサービスを提供する事業者(運営会社)となります。
そのため、年平均5万円以上といわれる自動車保険料、地域によっては毎月3万円以上となる駐車場代、車検やメンテナンスといった費用や諸手続きなどは全て運営会社が行いユーザーが負担することはありません。
使い方を簡単に解説すると、スマホやパソコンで利用したい時間を予約、カーシェア専用車両が設置されているステーションに行き、スマホなどを使って車両のロックを解除、利用後はステーションに車を返却して終了…といった感じになります。
車両の予約から返却までの一連、加えて簡単な注意事項までをまとめた短い動画があるので、よければ参考までにご覧ください。
…ちなみに、カーシェアリングといえば運営会社の車両をシェアするカーシェアリングと、個人所有の車両をシェアする「個人間カーシェアリング」があり、一般的にカーシェアリングというワードは前者をさすことが多いです。
カーシェアリングの魅力とは?
1台の車を複数人で利用するといえばレンタカーを連想する人もいると思いますが、異なる点はいくつかあれど広義的にはとても近いサービスといえます。
まずはカーシェアの特長をいくつかまとめたのでご覧ください。
- 予約できれば24時間利用可能
- ガソリン代や保険料は必要ない
- 1時間未満の短時間利用も可能
- ネットを通じての予約操作も簡単
- カーナビやETCなどが標準装備
カーシェアの最大の魅力でありレンタカーとの大きな違いは、「24時間利用可能な無人サービス」ということ!
前項目で簡単に使い方を解説しましたが、予約さえできれば24時間年中無休でいつでも利用できるというスタイルになっています。
また、各サービスによって異なりますが、最短15分などの短い時間から長ければ3日程度の長期間利用も可能となっており、「手間の少なさ&短時間利用可能」という利便性が大きな特長というわけです。
(※ 特に6時間以内の料金設定は安いことが多い。)
予約さえできればいつでも気楽に利用できるコンビニエンスな感じが、カーシェアリングの最も大きな魅力だと思います。
また、車を所有するわけではないので実用性を全く考えず、運転を楽しむための趣向性の強い車種を利用できるというメリットも大きいですね。
…個人の範囲で考えるとこういった内容になりますが、もっと大きな範囲で見た場合、マイカーよりもカーシェアの方が走行距離が減少するという研究結果も明らかにされており、地球温暖化対策や交通渋滞対策の施策としても期待が高まっています。
関連記事:「最強の6時間!カレコの夜間パックは要チェック!」
カーシェアの歴史とあらまし
荒々しくかいつまんだ過去と未来の短編なのでここは読み飛ばしても構いません。
そもそもカーシェアリングサービスが世界で始めて登場したのは1987年のスイス。
日本ではオリックスカーシェアリング(当時は「シーイーブイシェアリング」という名称)が2002年に国内初の民間カーシェアサービスを開始しています。
サービス開始当初はカーシェアという文化が根付いていないこともあり、会員数はあまり伸びませんでしたが、2010年頃から会員数が急激に増加しており、2017年にはついに会員数が100万人(事業全体で)を突破したことが明らかにされています。
…そんな比較的歴史の浅い事業ですが、近年ではすでに競争激化の様子。
国内ではオリックスカーシェア、カレコ、タイムズカーシェアの業界3大手が競合しており、近年ではオリックスカーシェアと提携する形でdカーシェアも参入するなど、さらに競争が激化する様相を見せています。
そして、世界ではドイツの大手自動車メーカーである「ダイムラー」が、「car2go(カーツーゴー)」というカーシェアリングサービスをアメリカ、ドイツ、中国などで展開しており、2018年2月には会員数が300万人を突破したことが発表されています。
カーシェアリングサービスは2025年には3,000億ドル規模に達することが予想されており、国内においても今後の成長が期待されるなど、カーシェアという新しい車の利用方法が日本だけでなく、世界的にも一般的になりつつあります。
レンタカーよりも身近になりつつあるカーシェア。
そんな将来が間近に迫っているというわけですね。
…あと、ここではあまり触れませんでしたが、最初の方で少し書いたように「ん~…レンタカーと何が違うの?」…と思う人も多いので、カーシェアリングとレンタカーの違いについては以降の項目で解説していきます。
関連記事:「使うならどっち?カーシェアリングとレンタカーの違い」
採算性の厳しい事業でもある
低採算事業となっているので事業継続はなかなかシビアであるということ。
大手の中ではコンパクトカーを1時間利用してワンコイン以下というプランもあるため、そういった価格帯で競争することを考えると、厳しいということは容易に想像できますね。
過去には昭和シェル石油やガリバーなどがカーシェアリング事業に参入していますが、いずれも既に事業撤退という結果に陥っています。
サービス名 | サービス開始 | サービス終了 |
---|---|---|
昭和シェル石油 まちのりくん | 2009年12月 | 2012年6月 |
ガリバー ガリバーカーシェアメイト | 2009年4月 | 2012年7月 |
ガリバー&レオパレス21 レオガリバー | 2009年11月 | 2012年2月 |
カーシェア業界でNo.1のシェアを獲得しているタイムズカーシェアでも、2009年の事業開始から5年経過後の2014年に、やっと黒字化に至るという長い道のりを経ています。
ユーザーとしてはリーズナブルな利用料金は大歓迎ではありますが、採算性の低いステーションの閉鎖、提供地域の縮小、料金の改定、サービスの運営終了などが起こりえるという意味でも採算性については理解しておいたほうがいいでしょう。
現在では業界全体の動向は落ち着いてきた印象があり、各サービスで順調に会員数を伸ばしているところです。
関連記事:「料金比較!カーシェアリング4社の最安料金とは?」
会員数の推移と規模について
前項目でも触れたとおり国内カーシェアリングは2002年にサービスを開始していますが、会員数10万人未満という期間は10年弱も続いています。
2011年以降は毎年10万人以上の増加と順調に会員数を増やしており、2017年にやっと100万人を突破したところです。
種別 | 車両台数 | 会員数 |
---|---|---|
2011年 | 3,915台 | 73,224人 |
2012年 | 6,477台 | 167,745人 |
2013年 | 8,831台 | 289,497人 |
2014年 | 12,373台 | 465,280人 |
2015年 | 16,418台 | 681,147人 |
2016年 | 19,717台 | 846,240人 |
2017年 | 24,458台 | 1,085,922人 |
2018年 | 29,208台 | 1,320,794人 |
(※ 出典:「わが国のカーシェアリング車両台数と会員数の推移」 交通エコロジー・モビリティー財団)
ちなみに、全国レンタカー協会(http://www.rentacar.or.jp/)の資料によるとレンタカーの車両台数は2017年3月時点で30万台以上(バスやトラックなどを除いた乗用車のみ)となっており、同時点で3万台に満たないカーシェアリングとの規模の違いは明らか。
カーシェアリングという業種が認知されるようになったとはいえまだまだ発展途上であり、今後もさらにサービスが拡充されることに期待したいですね。
関連記事:「カーシェアvsレンタカー…車種別&距離別の料金比較」

2017年9月に業界初の全国展開を達成しており、利用可能な地域が最も多いため、国内旅行に適したカーシェアといえるでしょう。
また、2018年7月には単独で会員数100万人を突破したことが発表され、カーシェア業界では圧倒的なシェアを獲得しています。
サービス情報 | その他の情報 |
---|---|
対応地域:全国 | 最短利用:15分~ |
車種:30車種以上 | 予約単位:15分毎 |
通常料金:最安206円 | 給油割引:15分相当 |
ポイント:100円で1P | 学生プラン:あり |
最短15分で15分毎の料金は206円。パック料金は全車種共通となっており、料金プランはとってもシンプルなのが特長。
3種類の夜間パックは使い勝手が良く、24時間利用可能というカーシェアのメリットとの相性もいい感じです。
ステーション数は1万箇所を超えていますが、毎月の新規オープンや増車の数は多く、利用できる地域は今後もさらに増えていくことが期待されます。
カーシェア大手のひとつですが展開は東京23区を中心としているため、利用できる地域が限定されてしまうのがやや難点。
サービス情報 | その他の情報 |
---|---|
対応地域:11都府県 | 最短利用:30分~ |
車種:60車種以上 | 予約単位:10分毎 |
通常料金:最安80円 | 給油割引:300円分 |
ポイント:200円で1P | 学生プラン:あり |
しかし、通常プランでは10分毎130円、平日プランではなんと10分毎80円と圧倒的な格安プランが魅力的。
料金の自動計算で最安適用、夜間パックの6時間返却で距離料金無料、給油割引での金額割引など、とにかく料金面と相性の良い独自サービスが多く、価格重視のユーザーには最もおすすめのカーシェア。
また、取り扱っている車種は60以上と業界でもトップクラスの多さで、レクサスやベンツ、ロードスターなど普段乗れないクルマを楽しめます。